今回は円卓を大勢で囲んで食べる中国料理のマナー。
実は円卓にも席次があり、料理にはおいしくいただく独特の食べ方があるそうです。関西作法会会長の田野直美さんに聞きました。
独特の味わい方を知り、楽しむ
和食や洋食などマナーを気にせず食べられるのが中国料理の魅力。
それは、中国料理の本来の味わい方に由来しています。
日本では取りばしが用意されていますが、現地では主催者が自分で使っているはしでサーブし、客は汚れた手はテーブルクロスでふきます。
いまは衛生面で問題があるので、多くのレストランではこうした食べ方はしませんが、食卓を汚せば汚すほどおいしく食べた証しなのです。
日本料理では調味料は食卓には出てこないですが、中国料理では遠慮なく使えますし、料理を自分のはしで取ってもマナー違反ではありません。
むしろその方が親しみがわくとされています。中国料理ならではの味わい方を知って、楽しく食べましょう。
回転台は周囲を気遣って回す
円卓の席次は、入り口から一番遠い席が主賓席。その正面に主催者が座ります。
料理の順番はお酒、前菜、主菜、スープ、点心、鮮果(デザートにあたる果物)、中国茶。全員が席についたところで、酒をついで乾杯します。飲めない人も最初のひと口はつけましょう。
回転台に料理が並んだら、時計回りに回すのが基本。回すときは、ほかの人の動きを良く見て、人の粗相の原因を作らないように気をつけます。
全員に料理が一巡したら、あとは自由に好きなものを取って構いませんが、立ち上がって料理を取るのはタブーです
殻つきエビはすすって味わう
料理の食べ方を心得ておくこと。
北京ダックは、広げた薄もちにみそを塗ってから、具をのせ、手前から巻くように包みます。
殻つきのエビチリソースなどは本来は殻に染み込んだソースをすすって味わい、それから殻をむいて身を食べます。
汚れた手はフィンガーボウルで両手を同時に洗います。ふつう、ボウルの中身は油脂を落とす中国茶ですが、間違えて飲まないように。
イモのあめ煮(抜絲=パースー)は、熱々の状態で出されるので、はしにくっつかないように、一緒に出ている冷水で、はしの先を濡らして手早く取り、イモもさっと冷水につけてから自分の皿に取っていただきます。
鯉の丸揚げは給仕の人が食べやすくしてくれるので任せます。胸びれの下が最上の部分で、主宰用です。
スープは器は持ち上げずに、れんげを口に運んで飲みます。はしは取り皿の上に渡して置かないこと。
手元のはし置きに戻します。取り皿に取った料理は全部いただきましょう。
アサヒファミリー 2003年11月14日 掲載