立ち居振る舞いや言葉遣いに、その人の性格や生活習慣が見えます。
それを短時間で見極めるのが就職面接。厳しい就職戦線に挑む学生たちは、親や大人を映す鏡です。
面接でのマナーに役立つのは、実は親とのコミュニケーションと言います。就
職を控える子に、親が社会経験、人生経験で培ったマナーや常識をどう活かすことができるのか。関西作法会会長の田野直美さんに聞きました。
親子の対話から身につく常識
就職の模擬面接や履歴書の書き方を指導します。
「~です」「~ます」と語尾まで明確に話せない学生や、自分の希望職種が明確でない学生もいますが、これらは日ごろの親子関係の中で解消できるものです。
企業は社会で通用する人材を求めています。学生言葉は通用しません。
子の言葉遣いや礼儀は、親の日ごろの接客や電話対応などを見聞きしながら身につくもの。
面接だけ急に礼儀正しくするのは無理です。ふだんの会話の中で粗雑に思う点は指摘しましょう。いすに座る姿勢なども食事中などに注意しましょう。
親の就職観は身近な社会情報
希望職種がみつからない理由の一つは、社会との接点の少なさ。父親の就職観、仕事や職場の話は、最も身近に入手できる社会情報です。
どんな職種に興味があるかを聞き、それにまつわる世評や業界情報などを教えてあげましょう。
ただし、親が知らない職業や企業について、親が企業に電話して質問したり、資料を取り寄せるのは過保護。「資料請求も自分でできないのか」と思われ、マイナスの印象を与えます。
自己分析の手助けを
自分に自信が持てないため、職種を決定できない場合もあります。
履歴書の自己評価欄も書き込めません。親は誰よりも子どもの長所や短所を知っています。
欠けている点をはっきりと指摘できるのも親だけ。子が気付いていない長所や短所を教え、いい所を引き出し、自信を持たせる手助けを。厳しい就職活動を乗り切る励みになります。
家族の電話対応が内定にひびく
家族のいい加減な電話対応で内定が取り消される場合もあります。
人事担当からの電話に「娘(息子)とはどういうご関係ですか?」と出たり、保険会社の電話を勧誘と勘違いして「結構です!」と一方的に切ってしまう人もいます。
企業にはこうした電話も学生を知る情報源。どんな企業から、いつごろ説明会や内定通知の電話がかかるか、何を聞いておけばいいかを把握し、ていねいに対応して本人に取り次ぎましょう。
そして機転をきかせること。「いま○○社の面接に出かけて留守です」「いま寝ているので後でお願いします」などと正直すぎるのは考えもの。日中、家族が留守をしたり、小さな子どもが電話を取る場合は、携帯電話に通知してもらうなど、本人から人事担当者にお願いし、確実に連絡が取れるよう手配しましょう。
アサヒファミリー 2003年7月18日 掲載