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「源氏物語に親しむ 第1回」~桐壷(きりつぼ) 帚木(ははきぎ)~

日時 令和4年5月28日(土) 午後1時30分~3時
会場 トータルマナー株式会社
講師 トータルマナー株式会社 市川 蓉子
内容 「源氏物語に親しむ 第1回」

 

こんにちは。
関西作法会 Yです。

 

今回は、令和2年9月に開催した、『「源氏物語にまつわるお話」~原作者紫式部のお話~』が好評で、続きを聴きたいという声にお応えし、続編として開講いたしました。

 

 

マナーとは少し違いますが、教養を深めていくことも「心のおしゃれ」につながっていくと思います。
今回は改めて、第1回目ということで、今後は継続的に続けていく予定です。

 

では、今回は私Yが講座の様子をご紹介いたします。

 

心のおしゃれ講座「源氏物語に親しむ 第1回」令和4年5月28日

 

まず最初は源氏物語について説明がありました。

 

源氏物語の作者は紫式部。
作品は、主人公、光源氏の一生とその子孫達の人生が、全五十四帖、三部構成で描かれ、次のようになっています。

 

第一部
光源氏の出生からさまざまな恋愛遍歴をしつつ王朝人として栄華を極める前半生。


(一帖~三十三帖)
桐壺(きりつぼ) 帚木(ははきぎ) 空蝉(うつせみ) 夕顔(ゆうがお) 若紫(わかむらさき) 末摘花(すえつむはな) 紅葉賀(もみじのが) 花宴(はなのえん) 葵(あおい) 賢木(さかき) 花散里(はなちるさと) 須磨(すま) 明石(あかし) 澪標(みおつくし) 蓬生(よもぎう) 関屋(せきや) 絵合(えあわせ) 松風(まつかぜ) 薄雲(うすぐも) 朝顔(あさがお) 乙女(おとめ) 玉鬘(たまかずら) 初音(はつね) 胡蝶(こちょう) 蛍(ほたる) 常夏(とこなつ) 篝火(かがりび) 野分(のわき) 行幸(みゆき) 藤袴(ふじばかま) 真木柱(まきばしら) 梅枝(うめがえ) 藤裏葉(ふじうらば)

 

第二部 
光源氏が人生の無常をさとり、やがて出家を志すその後の半生。


(三十四帖~四十一帖)
若菜(わかな)上 若菜(わかな)下 柏木(かしわぎ) 横笛(よこぶえ) 鈴虫(すずむし) 夕霧(ゆうぎり) 御法(みのり) 幻(まぼろし)

 

第三部 
光源氏が亡くなった後の子孫達の恋愛模様や人生など。


(四十二帖~五十四帖)
雲隠(くもがくれ) 匂宮(におうのみや) 紅梅(こうばい) 竹河(たけかわ) 橋姫(はしひめ) 椎本(しいがもと) 総角(あげまき) 早蕨(さわらび) 宿木(やどりぎ) 東家(あずまや) 浮舟(うきふね) 蜻蛉(かげろう) 手習(てならい) 夢浮橋(ゆめのうきはし)


※「雲隠」の帖は題名だけあって本文はないそうです。

 

 

 

源氏物語は1000年以上前に書かれたものです。
そんな昔のものがよくこれまで残ってきたものですが、それを今に伝えてくれたのは紙です。

 

その時代、印刷技術はあったにせよ、仏典などの限られたものしか印刷されていませんでした。
では、どうして今に伝わったのでしょうか。

 

それは、最初は、作者が書いたものの回し読みから始まったのでしょうが、そのうちそれを書き写していって、多くの人が楽しむようになり、今に伝わったということです。
すごいですね。
ただ、残念なことに、紫式部自身が書いたとされる原本は残っていないそうです。

 

また、その頃の鑑賞方法は、声に出して読み、それを聞くという方法。
最初は原本しかないのですから、一度に多くの人が楽しめるこの方法は納得です。

 

音読は声のきれいな女房が抜擢され、時の帝、一条天皇の前で披露されたとか、雅ですね。

 

最初にそういったお話をうかがい、源氏物語への興味がさらに湧きました。

 

 

名称説明


次に、源氏物語に親しむにあたって、知っておくべき言葉についての説明がありました。
次回よりご参加いただく方のためにご紹介しますね。

 

内裏(だいり)…天皇の住んでいる御殿・皇居。
後宮(こうきゅう)…天皇常任の御殿の後ろにあった建物の総称。后・女官の住む建物。または后妃の総称。
局(つぼね)…女官や女房の部屋
入内(じゅだい)…皇后・中宮・女御などになる人が正式に内裏に入ること。いわゆるお嫁入することです。
元服(げんぷく)…男子の成人式。冠をかぶり大人仕立の衣服を着る。
後見(こうけん)…世話をすること、又その人の後ろ盾。光源氏の母親の桐壺は天皇から寵愛されましたが、この後見がいなくて苦労します。
女房(にょうぼう)…房とは部屋の意で。宮中で仕切られた私室を与えられた高位の女官。
乳母(めのと)…母親の代わりに、子に授乳や養育する女性。うば。
乳母子(めのとご)…乳母の実子。光源氏の腹心の部下である惟光(これみつ)は光源氏の乳母子です。

 

さて、このような基礎知識を聴いた後、いよいよ第一帖「桐壺」のお話です。

 

「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに、いとやむごとなき際にはあらぬがすぐれて時めき給ふありけり。はじめより、我はと思ひあがり給へる御方々、めざましきものにおとしめそねみ給ふ。同じ程、それより下臈の更衣たちはましてやすからず。」

 

これは、源氏物語の冒頭部分。
有名ですよね。音読してくださいました。

 

簡単にいうと、女御や更衣といった帝(天皇)にお仕えするために入内した方がたくさんいたけれども、その中に、身分はそれほど高くないけれど、格別に帝の寵愛をうけている方がいた。そのため、入内する前から自分こそは寵愛されるだろうと思っていた方々にとっては面白くなく、要は嫉妬されて意地悪をされていた、というような内容です。

 

 

この、帝に寵愛され、他の女御達からは意地悪されているのが、光源氏の母親となる桐壺です。
光源氏はこの帝と桐壺の間に生まれた玉のように輝く美しい皇子様でした。

 

帝と桐壺はお互い深く愛しあっていましたが、強い後ろ盾を持たない桐壺は、他の女房たちの嫉妬や嫌がらせのせいで病気がちになり幼い源氏を残し他界してしまいました。

 

桐壺を失った帝は深い悲しみにくれますが、亡き桐壺に瓜二つの藤壺が入内し、これまた帝の寵愛を受けます。

 

帝は藤壺を寵愛するとともに、桐壺の残した光源氏もとても愛していて、幼いころに母親を亡くした光源氏を亡き母の面影のある藤壺と引き合わせました。

 

藤壺は桐壺と違って身分が高かったので、他の女御達からいじめられることもなく、帝と藤壺と光源氏は3人で幸せな時間を過ごしました。

 

しかし、光源氏が12歳で元服すると、成人男子となり、帝のお妃である藤壺には直接会うことができなくなります。

 

最初は母恋しいの情だったものが12歳になるまでのあいだに恋慕の情となっていた光源氏は藤壺を忘れることができません。

 


そこで、里帰りしていた藤壺に会いに行ってしまいます。
(本当は絶対いけないことなんですが…)

 

そして、そして、一線を越えてしまうんですよね~。

 

市川講師の説明によると、藤壺入内時13歳、帝40歳。中々の年の差。
そして、藤壺と光源氏は義理の母と義理の息子だけど、5歳差!(間違い起こるよね)

 

この一線を越えた部分の描写はどうも原文には詳しく書かれていない様子。
でも、田辺聖子の『新源氏物語』には、なかなかに詳しく書いてあるので、ということで、この部分も市川講師が音読してくださいました。

 

闇に姿を消して忍んでいった源氏に、手を握りしめられた藤壺の宮が
「いけませんわ、いけませんわ……」
という部分がなまめかしく、味わい深かったです。

 

 

 

 

源氏物語はさまざまな文人が訳本を出しています。
市川講師によると、与謝野晶子は難しい、田辺聖子は分かりやすい、瀬戸内寂聴も良い、そうです。
また、谷崎潤一郎も出しているが、まだ読んでいないので、読んでみたいそうです。

 

色々と読んで研究された上でのあらすじを話してくださるのがとても面白く興味深かったです。
来年も続きをよろしくお願いいたします。


(記 Y)

 


【受講生の声】(一部抜粋)


・とても親しみやすく、解りやすい解説で楽しく聞かせていただきました。ありがとうございました。


・源氏物語の深いところまで理解することができました。田辺聖子さんの本を是非買いにいきたいと思いました。


・日本の代表となる小説をわかりやすく興味深くお話しくださり、 源氏物語の一端を感じられる面白い講座でした。名称説明などもあり、具体的にお話しくださり良かったです。


・源氏物語をさまざまな角度で読んでおられ、知識の深さが感じられました。本日はとても刺激を受けました。


・源氏物語を瀬戸内寂聴さんや田辺聖子さんの本で読んではいましたが、なかなか興味深い気持ちまではいかず最後まで読み切った達成感だけでした。次はもっと内容の奥深さに触れたいと思いました。一読していただいた時、思いのこもった読み方で心が動かされました。

 


 

トータルマナー株式会社/関西作法会では冠婚葬祭をはじめ、日々の暮らしに身近なテーマを通して、
日常生活に役立つマナーの講習会を実施しております。

 

今後の予定はこちらをご覧ください。

また、「心のおしゃれ講座」を無料で受講できる
マナー会員も募集中です。

 

皆様のお越しをお待ちいたしております。











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