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ビジネス系検定対策講座の指導の仕方勉強会

令和4年4月24日(日)
ビジネス系検定対策講座の指導の仕方勉強会

今回の研究科勉強会はビジネス系検定対策講座の指導の仕方の勉強会を行いました。

 

私どもトータルマナー株式会社に所属する講師は、まずマナー講師養成講座を修了し、専科へ進み、師範科で学びながら大学や専門学校で講師デビューしていきます。
そして、その後経験を積めば、企業研修なども担当していきますが、最初は秘書検定やサービス接遇検定などのビジネス系検定の対策講座を担当することが多いです。

 

デビュー前には一通り、指導方法などの勉強はありますが、その後は各自、創意工夫しながら講座を担当しています。
本日は、実際に担当することが多い、秘書検定とサービス接遇検定を取り上げ、間違えやすい問題や分かりにくい問題などをどのように指導しているか、などを共有しました。

 

 

ピックアップされた問題を少し紹介します。皆さまもお考えください。

 

秘書検定2級の問題(必要とされる資質)


秘書 A の上司は、頼まれたことを期日までにやらないことが多い。A を通して頼まれるため、
催促は A がされることになる。次は、このようなことをなくすために A が考えたことである。
次の中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。

 

1)頼まれ事を引き受けるとき、相手に、期日に余裕を持つように言う。
2)頼まれ事を引き受けるとき、上司には、実際より早めの期日を言うようにする。
3)期日より遅くなりそうなときは、期日通りできそうにないと相手に連絡しておく。
4)期日近くになってまだできていそうもないときは、さりげなく上司に知らせる。
5)期日近くになってもできていそうもないときは、相手に知らせてそのつもりでいてもらう。

 

 

さて、何番が正解だと思いますか?
不適当を選べという問題ですから、これはやってはいけないというものを選ばなければいけません。

 

秘書検定の基本的な考え方は、「秘書は上司の補佐役であるということ」です。

ですから、上司が自分の仕事に専念できるように身の回りの世話を含め、さまざまな雑務を引き受けるのが秘書の仕事です。

 

この場合は、頼まれたことを期日までやらないことが多い上司のもとで働く秘書が、上司に頼みごとをした人達から「まだですか?」と催促されることが多い様子が分かります。
それを回避するために秘書として出来ることを考えたのが選択肢の5つです。

 

ちなみに、答えは2)です。


本日の参加者はこの問題をピックアップした講師以外は答えを知りませんので、さまざまな回答がでており、2)という正解に大ブーイングでした。

 

公式の2)の解説としては、実際よりも早めの期日を言うということは、上司に対して嘘を言っていることになるからいけない、ということでした。
そういわれると、そうかもしれませんが…。

 

とはいえ、この場の講師の意見としては、


実際には早めに言うということはあるのではないか。
その方が仕事うまく進む。
実際の上司としての立場からの意見としては、早めに言ってもらえた方が有難い。

反対に「4)期日近くになってまだできていそうもないときは、さりげなく上司に知らせる」などは言われたくない。


などの意見があり、白熱しましたが、検定試験に合格するためには検定協会の秘書としての考え方に合わせなければ正解とならず、合格できません。

 

結局、やっぱり嘘はいけない。
仕事はうまく進むかもしれないが、(実際の上司の意見はさておき)上司に対して、本来の期日より早い期日を伝えていたことが発覚してしまったら、やはり上司のプライドを傷つけてしまうので、ダメということで落ち着きました。

 

サービス接遇検定2級の問題(サービススタッフの資質)


次は病院スタッフ水原真紀が、病院に良い印象を持ってもらえるように、日頃患者さまなどに対して心がけていることである。中から不適当と思われるものを一つ選びなさい。



(1)顔見知りの患者さまに症状を尋ねるような時には、砕けた話し方をして、気安さを出すようにしている。
(2)患者さまから症状を聞くとき、訴える症状にはなるべく大きくうなずいたり相づちを打つようにしている。
(3)待合室で、何度も時計に目をやりながら待っている患者さまには、待ち時間が長くて申し訳ないと言うようにしている。
(4)患者さま同士で話しているそばを通るときは、邪魔にならないように、なるべく知らぬふりをして通り過ぎるようにしている。
(5)あいさつをしても応じない患者さまには、病気が心配で気が回らないのだろうから、愛想のようなことは言わないようにしている。

 

 

さて、この問題はいかがですか?
この問題も不適当を選べという問題です。

 

この問題で学生が不適当だと思って選ぶ選択肢は、(1)が多いです。


なぜかというと選択肢の文章の中に「砕けた話し方」「気安さを出す」などの言葉があり、「仕事で砕けた話し方などはいけないのではないか?」と思うからのようです。
ところが、サービス接遇検定ではお客様に対しての「愛想」「愛嬌」が重要視されます。

 

愛想は相手から好感を持たれるような心遣いの言葉や話し方
愛嬌は人懐こさや好ましさを感じさせる表情や振る舞い

 

ですので、サービス接遇検定においては「砕けた話し方」や「気安さを出す」振舞いは、「愛想」「愛嬌」の表現なので、不適当ではないのです。

 

ですから、まず学生にはそのことを話しておかなければいけません。

 

では、正解はなんでしょうか?
正解は(4)です。

 

「患者さま同士で話しているそばを通るときは、邪魔にならないように」
ここまでは良いのですが、その先の
「なるべく知らぬふりをして通り過ぎるようにしている」
この部分が不適当です。

 

「知らぬふり」というのは無視することです。
お客様に対して無視する行動はいけません。
邪魔をしないように、声はかけなくても、少し腰をかがめて、会釈くらいはすべきでしょう。

 

このように、やはり指導する上でのポイントがあることがわかり、非常に有機着な勉強になりました。

 

今回の勉強会は、秘書委員と研究科委員が協力して行いました。
秘書委員の皆様ご協力ありがとうございました。

 

研究科委員会では、講座を行うにあたって役立つ知識、マナー講師として知っておいて損しない教養としての知識などの中から、研究科所属の先生方が望むものを勉強会として企画して参ります。

ご意見ご希望はどんどんお寄せくださいませ。
(研究科委員会 記)

 

参加者の感想です。

 

◆秘書検定もサービス接遇検定も迷わす問題があり、今一度しっかり見直すことができ良かったです。ありがとうございました。


◆とても有意義な時間でした。悩んで授業しているのは、私だけでなく、他の先生方も同じだと思い安心しました。


◆自分の考えが違うことにショックで、又、勉強になりました。

良い機会を得たことに感謝です。ありがとうございました。

迷っている答は、他の講師も同じだということに安心いたしました。


◆長い間担当していなかった秘書検定の問題についても情報交換ができ、大変勉強になりました。

学生に納得してもらえる解説ができるよう、準備しておくことが重要だと改めて感じています。

気づきの時間をありがとうございました。


◆今回は秘書検定の問題を提案する立場で、過去の問題を見直し、傾向を考える良い機会をいただきました。
社会経験のない学生に、いかに分かりやすく解説をするのが良いのか、改めて考えることができました。
サービス接遇の問題は身近な生活の中での出題で悩ましい答が多く、解いて解説を聞くのが楽しかったです。


◆「こういう風に(学生に)説明している」という部分が勉強になったし、もっと聞きたかった。

秘書は久しぶりだったので、そもそもの基本の考え方を忘れていることの気付きになった。

やはり離れてはダメですね~。

秘書委員の方の、「最近の(問題の)傾向」の公表があったのが良かった。
研究科委員・秘書委員の皆さま、ありがとうございました。


◆今回はサービス接遇検定と秘書検定の問題に関してでしたが、どちらも考えさせられるものが選ばれており、学生さんに説明する時は自分なら何と言うか?ということも考えますし、他の講師の方々のご意見も大変参考になりました。
物の見方、考え方の幅が広げられると思いますので、これからもこのような勉強会を定期的に行っていただきたいと感じました。ありがとうございました。











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