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しきたり歳時記

アサヒファミリー 2002年11月15日 掲載

7.これで慌てない応接の心得 — 心のこもったおもてなしのために

 前回の訪問マナーに続いて、今回は訪問客を迎える際の「応接マナーのポイント」です。茶菓はどう出すのか、リビングダイニングの場合どこに座ってもらうのかなど、押さえておけば楽しいひと時を過ごせる「おもてなしの心得」を、関西作法会会長の田野直美さんに聞きました。

茶菓は客人の前でふるまう

 訪問のアポイントメントが入ったら、応接する部屋だけでなく玄関やトイレも掃除を。住まいはそこに暮らす人を映す鏡。婚約者の家を訪ねる息子に「必ずトイレを借りなさい」と言うお母さんがいるほどです。
 茶菓も用意。応接の基本は客人を1人きりにしないこと。ほかに対応してくれる家人がいない場合は、台所に入らず、目の前でお茶を出せるようセッティングを。お菓子は食べやすいものが基本。包みに入った菓子は、そのままお皿に乗せて出します。どこのどんなお菓子かがわかり、衛生的です。
 玄関でお迎え。軽いあいさつの後、スリッパを出します。玄関マットがある場合は、マットの外に。進行方向(室内)に向け、間隔を1~2センチ開けてそろえると履きやすいです。客人は自分で靴をそろえますが、「どうぞそのままで」と声をかけましょう。

 
雨天時はおもてなしの見せ所

 雨の日は、玄関で足元と衣服用のタオルを2枚用意。傘やコートを「お預かりします」と受け取り、できれば帰る時間までに傘は干し、コートはハンガーにかけて乾かしておきましょう。こうした心遣いは、濡れた荷物を持ち帰る不快感をなくし、コートを着る際に玄関先を汚すのではと気遣わせなくてすみます。雨の日こそ迎える側の腕の見せ所です。

LDKの食卓側は下座

 廊下を客人の2~3歩前を端寄りに歩いて室内へ案内、席をすすめます。和室なら床の間を背に座るのが特等席です。床の間がない場合も基本は出入り口より遠い所が上座。ただし、リビングダイニングの場合は、食卓に近い方が下座になるので注意を。ソファは長いすが上座。座卓は面の広い方が上座です。

相手を気遣わせない心掛けを

 正式なあいさつの後、席についたら、まずお手ふきだけを横一文字に出し、使い終わったのを確認後、お茶を客人の右、お菓子は左に。茶たくに木目がある場合は年輪の中心側と、茶器の絵柄を相手に向けて出します。1時間を目安に紅茶かコーヒーをすすめます。「もう結構」と遠慮されても、「私が飲みたいので、ご一緒に」と相手を気遣わせないようすすめます。食事の時間が迫り、心から誘いたい場合も「夕食どうですか?」はタブー。これは京都の「ぶぶ漬けどうどすか?」と同じく「早く帰れ」の意思表示。誘う時は「おすしはお嫌いですか?」と具体的に言い、一緒に食べたい気持を伝えましょう。
 玄関で見送る際、上がり框(がまち)が高い場合は、靴を履く客人よりも位置が高くなるので、ひざをついて別れのあいさつを。外まで送る場合、客人は振り返って軽く会釈するのが基本。くれぐれもすぐに家に入らず、しばらく見送りましょう。